「ソルファ(2016)/ASIAN KUNG-FU GENERATION」から考察する"大人になったJ-Rock"
先日の雪のふった後からぐっと冷え込み、12月に突入していよいよ冬本番。
冷えきった心身をあたためるのは、おでん、あんまん、コーヒー、甘酒、、、おっと、勿論音楽もあたためてくれますね。
それぞれが、それぞれの温もりを求めてさまよう今日この頃。今回の中身も、なかなかホットですよ。
〜アジカン(愛着を込めてこう呼ばさせていただきます)がソルファを再録したよ〜
一通り聴かせていただきました。とても充実した内容で、懐かしくもあり、また新しくもある当アルバムはなかなか興味深いものでした。先行して公開されたリライトが、今のライブアレンジを周到したものとなっていたので、他の楽曲も大幅なアレンジの見直しがされているのかなと思いきや、思ったよりも忠実に再現していてちょっと拍子抜けしてしまいましたが、コーラスワークの豊かさや、演奏のニュアンスに細かな違いがあり、幾多のライブや制作を経験してきた上で完成された音楽だと、今少しずつ感じています。曲順の違いも、良い効果が出ていると思います。
さて、このソルファ2016、当然のように「あの荒っぽい感じがよかった」「おとなしくなっちゃったなぁ、、、」なんて声があちこちから聴こえてきます。 まぁ、わかりますよ。聴き慣れてるって言うのもあるだろうし。
でもこの再録盤は、受け入れられるべきアルバムだと思います。アジカンがもう一度このソルファを丸々録り直したということは、彼らがこのアルバムに満足していなかったということではないでしょうか。つまりこの再録盤こそが、もしかしたら彼らが理想とするソルファなのかもしれません。
〜熟してきたJ-Rock、変わらないJ-Rock〜
2000年代を駆け抜けてきたバンドが、このくらいのタイミングでデビュー15年、結成20年を迎えています。アジカンは名盤の再録というかたちで過去を提示しましたが、他のバンドを見ると、くるりはアルバムの再現ライブをリリース順に行っていますね。メジャーデビュー10周年は何もしなかったBUMP OF CHICKENも、結成20周年記念ライブをきっちり行い、初期ナンバーを立て続けに披露して話題になりましたね。
考えてみれば、2000年代当時20代前半あたりだった彼らが、今では30歳中頃〜40歳手前。もはや中堅バンドです。
そうか〜〜〜ぁ(ふと感慨深くなる堀周平)。
音楽もバンドとともに成長しています。わざわざ創り直さなくとも、各々のタイミングで演奏される名曲たちは、リリース当時とは随分違う響きになってきているように思います。その中で、アジカンは「今のソルファを録音しよう」という流れになったのでしょう。実際に聞いた話ではないので想像の域は超えませんが。
確かにバンドとしては技術もあがって大人しくなった印象を持たれがちかもしれませんが、今の彼らから放たれる新曲たちは、当時と同じような初期衝動に満ちあふれています。
〜金字塔 "ユグドラシル"と"ソルファ"〜
異論は認めません(キッパリ)。。。笑
日本のバンドシーンはこのアルバムの前後で別れるでしょう。バンプのユグドラシルは、以降の音楽シーンにおける歌詞のあり方に大きな影響を与え、ソルファはUKをはじめとした洋楽のエッセンスを持ち込み、ツインギターを前面に出す4ピースバンドのサウンドイメージの象徴となりました。バンドシーンにおける4つ打の流れもこのあたりからではないでしょうか。
いま改めてこの二枚を聞き直すのも良いかもしれませんね。
では、今回はこのあたりで。
ごきげんよう。